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コメの人気品種「コシヒカリ」と同じくらいおいしいく、茎が短くて作りやすい「ヒカリ新世紀」の栽培に鳥取西部農業協同組合が力を入れだした。不況で高級米のコシヒカリの売れ行きが鈍っていることから、まだ安価なヒカリ新世紀なら勝負できると、大阪府内の米穀卸会社と栽培契約した。鳥取大学で開発された品種とあって「県西部のブランド米にしていきたい」と関係者は意気込んでいる。 ヒカリ新世紀は、鳥取大農学部の富田因則(もとのり)准教授(分子遺伝学)が、85年から16年かけて茎が短い「十石」という品種にコシヒカリを9回かけ合わせて開発した品種で、04年に品種登録された。味はコシヒカリと似ているうえ、茎がコシヒカリより約20センチ短いので台風の強風でも倒れにくいので作りやすく、穂の数が多くて収量も1割増を見込めるという。 県内以外にも岡山県や高知県などで栽培が始まっているが、消費者はおいしいコメとしてブランドが確立した「コシヒカリ」を好む人が多く、味が似ていると宣伝しても、知名度不足のヒカリ新世紀の需要は増えず、作付面積も伸び悩んでいた。 ところが、昨秋の米国金融危機に端を発した不況で、高級米であるコシヒカリを買い控える消費者が増えていることに加え、コシヒカリは全国で広く栽培され過当競争気味で、値崩れも始まっているという。有名産地の限定米は5千円を超えるものの、近畿圏のスーパーでは10キロ3千円を切ることもあるという。 そんな状況の中、大阪府寝屋川市の米穀卸会社「幸福米穀」の北本明社長から同農協に「コシヒカリのようにおいしく、しかも、安いヒカリ新世紀を作ってもらえないか」と打診があったことから、同農協が検討。「市場は差別化できる新たなコメを求めている」とヒカリ新世紀の契約栽培を受けることにした。 組合員の農家に呼びかけると、約400人の栽培希望者が現れ、作付面積は予定していた100ヘクタールから150ヘクタールに増やして栽培することになった。同農協は「売り先が決まっているだけでなく、稲の茎が短く作りやすい点が農家の安心材料になっているのだろう」と分析している。コシヒカリは強風で稲が倒れやすく、水田に漬かってコメが劣化して廉価になったり、倒れた稲の稲刈りに時間がかかったりすることも少なくないからだ。 今季はコシヒカリより約1割安い販売価格を予定しているという。同農協の組合員のコメの栽培面積は計5千ヘクタール。5年後にはヒカリ新世紀の作付面積は1千ヘクタールを目指しており、将来は県西部のブランド米にしたいと期待を募らせている。(北村有樹子)